5/10 マタイ福音書のイエス (第77回)~12人使徒の小欲知足〜
- 平岡ジョイフルチャペル

- 3 日前
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2026年5月10日 主日礼拝
聖書講話 「マタイ福音書のイエス (第77回)~12人使徒の小欲知足〜」
聖書箇所 マタイ福音書 10章9〜12節 話者 三上 章
[聖書協会共同訳]
※下線は修正の余地があると思われる部分
9 帯の中に金貨も銀貨も銅貨も入れてはならない。10 旅には袋も二枚の下着も、履物も杖も持って行ってはならない。働く者が食べ物を受けるのは当然である。11 町や村に入ったら、そこで誰がふさわしい人かを調べて、旅立つときまで、その人のもとにとどまりなさい。12 その家に入ったら、『平和があるように』と挨拶しなさい。

以下は原文の解明に基づく三上の語順訳と講解です.
9 μὴ κτήσησθε χρυσὸν μηδὲ ἄργυρον μηδὲ χαλκὸν εἰς τὰς ζώνας ὑμῶν,
あなたがたは所持しませんように←金も銀も銅も←あなたがたの帯の中に.
9.1 「あなたがたは所持しませんように」
12使徒はこれから宗教活動旅行に出ようとする.通常,旅行には携帯しなくてはならないものがある.しかし,イエスはそれらの所持に反対する.
9.2 「金も銀も銅も」
金貨,銀貨,銅貨.「金貨」はマタイの付け足しかもしれない.12使徒は日常金貨を持ち歩くほど金持ちではなかったであろう.マタイ教会時代の宗教活動であったなら,金貨の所持はあったかもしれないが,マタイはそれには反対である.

9.3 「帯」
「ゾーネー」の複数形.巾着のようなものを帯に入れる.
10 μὴ πήραν εἰς ὁδὸν μηδὲ δύο χιτῶνας μηδὲ ὑποδήματα μηδὲ ῥάβδον · ἄξιος γὰρ ὁ ἐργάτης τῆς τροφῆς αὐτοῦ.
皮製巾着も←旅のための,二つのキトーンもサンダルも杖も.なぜなら,釣りあっているからです←その働く人は←彼の生活必需品に.
10.1 「皮製巾着も←旅のための,二つのキトーンもサンダルも杖も」
10.1.1 「皮製巾着も←旅のための」
硬貨用にしっかり縫製されている.

10.1.2 「二つのキトーン」
着替えなし.ケセラセラ(Que Sera, Sera)である.天にまかせる.

10.1.3 「サンダル」
「ヒュポデーマタ」は,「革ひもで足を縛るもの」が原義.「サンダリオン」ともいう.カジュアルな靴,あるいは日本の旅草鞋.

10.1.4 「杖」(ラブドス)
自動車とてない時代,歩行するしかない.ラブドスは歩行の助けとなる.野獣や追い剥ぎからの防御にもなる.それを所持してはならないというところに,イエスの,というよりマタイの禁欲主義が現れている.

10.2 「なぜなら,釣り合っているからです←その働く人は←彼の生活必需品に」
10.2.1 「釣り合っている」(アクシオス)
たとえば,量りでいえば,AとBが量においてバランスよく等しい状態.マタイの損得勘定的傾向を示唆する.イエスは損得勘定をしない人である.

10.2.2 「働く人」
マタイ教会の観点からは,キリスト教の伝道者.
10.2.3 「彼の生活必需品」
キリスト教の伝道者が訪れる方々の家の教会を受け入れ,生活必需品を接待したであろう.布施の一つとして,修行僧に門前で湯茶を供すること.本来は,無償の行為.
11 εἰς ἣν δ’ ἂν πόλιν ἢ κώμην εἰσέλθητε, ἐξετάσατε τίς ἐν αὐτῇ ἄξιός ἐστιν · κἀκεῖ μείνατε ἕως ἂν ἐξέλθητε.
あるポリスかある村の中にあなたがたが入る場合には,あなたがたは調査してください//←その中の誰が釣り合っているかを.そしてそこに滞在してください←あなたがたが出て行くまで.
11.1 「あるポリスかある村の中にあなたがたが入る場合には,あなたがたは調査してください//←その中の誰が釣り合っているかを」
11.1.1 「あるポリスかある村の中にあなたがたが入る場合には」
マタイ教会の伝道の基本姿勢を示唆している.伝道者たちがポリスや村の中に入るにあたり,行き当たりばったりではいけない.
11.1.2 「あなたがたは調査してください」
宣教師ニコライは,東北地方の町や村に伝道するにあたり,その地域の社会経済層の比率を調査したという.旧士族がどれくらいで,商人がどれくらいで,農夫がどれくらいかを調査し,各社会層に適合した伝道をしたという.そういうやり方は,初期キリスト教会にまで遡る.

11.1.3 「その中の誰が釣り合っているかを」
また「アクシオス」が登場.マタイ教会の巡回伝道者たちにとって,「釣り合った」人を見つけることが肝要である.主イエス・キリストへの熱意,寛大なお布施,社会経済的階層の親近性,伝道者を宿泊させるに充分な家などの点において,伝道者を迎えるであろう人は,伝道者と波長が合っていなければならない.
11.2 「そしてそこに滞在してください←あなたがたが出て行くまで」
11.2.1 「そこに滞在してください」
その釣り合った人の家にだけ滞在するように,ということ.その人と心と行動を合わせるのである.パウロがプリスキラとアクラ夫妻の家に滞在し,天幕作りをしながら伝道したように(使徒 18:1-4).
11.2.2 「あなたがたが出て行くまで」
滞在期間は明示されていないが,短いにしても長いにしてもずっとである.
12 εἰσερχόμενοι δὲ εἰς τὴν οἰκίαν ἀσπάσασθε αὐτήν ·
あなたがたが入っていく時には←その家の中に,挨拶するしてください←それに.
12.1 「あなたがたが入っていく時には←その家の中に」
調査の結果,釣り合っていると思われる家に思い切って入る.何といって入るか?
12.2 「挨拶してください←それに」
家に挨拶するとは,やや奇妙な表現であるが,ユダヤ教徒同志の場合,「シャローム・レハ」と挨拶をした.「あなたに平和がありますように」という意味.ギリシア人同士の場合は,「カイレ」または「カイレテ」である.「あなたは喜びますように」「あなたがたは喜びますように」という意味.文脈から見て,ここはユダヤ教徒の挨拶,「シャローム・レハ」であると思われる.



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