7/12 マタイ福音書のイエス (第84回)~一羽の雀にさえ目をとめる神〜
- 平岡ジョイフルチャペル

- 7月12日
- 読了時間: 4分
更新日:7月27日
2026年7月12日 主日礼拝
聖書講話 「マタイ福音書のイエス (第83回)~一羽の雀にさえ目をとめる神〜」
聖書箇所 マタイ福音書 10章29〜31節 話者 三上 章
[聖書協会共同訳]
10章 29節 二羽の雀は一アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、あなたがたの父のお許しがなければ、地に落ちることはない。30節 あなたがたの髪の毛までも一本残らず数えられている。 31節 だから、恐れることはない。あなたがたは、たくさんの雀よりも優れた者である。

29 οὐχὶ δύο στρουθία ἀσσαρίου πωλεῖται; καὶ ἓν ἐξ αὐτῶν οὐ πεσεῖται ἐπὶ τὴν γῆν ἄνευ τοῦ πατρὸς ὑμῶν.
ではありませんか?←二羽のスズメは/一アサリオンで/売られている.そしてそれらの中の一羽は,落ちません←地面に/←あなたがたの父なしには.
29.1 「ではありませんか?←二羽のスズメは/一アサリオンで/←売られている」
29.1.1 「ではありませんか?←売られている」
反対・迫害に遭遇しているマタイ教会のクリスチャンたちを励ますにあたり,福音書記者のイエスは,日常生活における食料の売買に言及する.
29.1.2 「二羽のスズメ」
古代ローマ では,スズメは貧困の人の食物であり,あらゆる鳥の中で最安値であった.それも「二羽」だけであるから,糊口をしのいでいる人の買い物であろう.明治日本における東方正教のクリスチャンたちは,貧困の人が多かったという.
29.1.3 「一アサリオン」
ラテン語でassariusで,小さなローマの銅貨.一デナリウス(労働者の日給)の16分の一.子どものころ,百円札と買い物カゴを持つ母にくっついて,買い物に行ったことを思い出す.
29.2 「そしてそれらの中の一羽は,落ちません←地面に/←あなたがたの父なしには」

29.1 「そしてそれらの中の一羽は,落ちません←地面に」
一羽のスズメに対する優しいまなざしを感じさせる.かつて私がお世話になったカナダ人女性宣教師は,電線にとまっているスズメたちを指さして,「すずめたちが電線の上に立っています」と言った.英語ではそう言うのだなと学習したと同時に,小さなものに対する彼女の慈しみを学んだ.「地面に」ということは,地面に設置された罠のことを言っているのかもしれない.
29.2 「あなたがたの父なしには」
29.2.1 「なしには」(アネウ)
これが逐語訳.「なしには」と訳した「アネウ」という前置詞は,ここでは「父の意思なしには」,「父の許可なしには」という意味であろう.もちろん父は,スズメの落下を積極的に意思することも,許可することもない.しかし,スズメが落下するという現実もあるが,それは父の深い計らいの中で起こる.今はわからなくても,やがて分かる時が来るであろう.
29.2.2 「父」(パテール)
そもそも,マタイのイエスが想念する父は,深慮にあふれたやさしい父である.「パテール」の幼児語は「パパ」.この呼び名は今も世界中に息づいている.


30 ὑμῶν δὲ καὶ αἱ τρίχες τῆς κεφαλῆς πᾶσαι ἠριθμημέναι εἰσίν.
あなたがたの頭髪さえ,全部,数えられています.
人間の頭髪は,*日本人では平均約10万本とされる.1日に抜ける本数はおよそ50〜100本前後が正常範囲と考えられる.父は10万本の計算をいとわない.しかし,やはりボールドヘッドを喜ぶかもしれない.

31 μὴ οὖν φοβεῖσθε · πολλῶν στρουθίων διαφέρετε ὑμεῖς.
ですから,恐れるのをやめてください.多くのスズメを超えています←他でもなくあなたがたは.
31.1 「ですから,恐れるのをやめてください」
「恐れるな」はこれで四回目.四回言わなければないほど,マタイ教会のクリスチャンたちは脅威にさらされていたのであろう.
31.2 「多くのスズメを上回っています←他でもなくあなたがたは」

31.2.1 「多くのスズメを上回っています」
二羽のスズメが一アッサリウスであるなら,一人の人間の価値をどれほどであろうか.たとえば,奴隷.アウグストゥスやカエサルの時代(紀元前1世紀末),ローマの歴史家リウィウスによると,当時ローマ市内で一般的な20歳前後の男性奴隷は500デナリウス ,女性なら10倍以上の5000~6000デナリウスで売れていたとしている.スズメよりケタ違いに高価である.しかし,そういうことではないであろう.「超えています」と訳した「ディアペロー」は,ここでは能力において超えていることを意味する.スズメは飛ぶことができるが,ジェット機を作ることができない.スズメは鳴き声で情報を伝えあうことができるが,スマホで連絡することはできない.スズメの視力は人間と同等か,もしくはそれ以上あると考えられるが,視力12,000に相当する能力を持つハップル宇宙望遠鏡には,はるかに及ばない.
そもそも,人間の価値はお金で換算できない.人間の生命であれ,スズメの生命であれ,生命というものは,いくらお金をつぎ込んでも,作り出すことはできない.心臓に関していえば,カテーテルや心臓ペースメーカーによって生命を延長することができるが,いつかは死ななければならない.それが人の常である.生命を作り出し,生命を見守り,生命を司るのは,神だけである.
31.2.2 他でもなくあなたがたは」
「あなたがた」(ヒューメイス)が強調されている.実に確かに,神はあなたを見守っている.




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