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12/8 第1回 ダニエル書を読む 特異性と意義(要旨)

執筆者の写真: 平岡ジョイフルチャペル平岡ジョイフルチャペル

第1回 ダニエル書を読む 特異性と意義(要旨)

日高嘉彦

今日から新たにダニエル書を読みたいと思います。その第1回として、ダニエル書の独特な性質とその重要性について考えます。

ダニエル書は、旧約聖書の中で他の書とは異なる独自の位置づけを持つ書物です。キリスト教の聖書では「四大預言書」の一つに数えられる一方、ヘブライ語聖書では預言書ではなく「諸書」に分類され、歴史書としての扱いを受けています。このため、学術的な研究や注解書の数も他の預言書に比べて少なく、その注目度は低いと言えます。一方で、信仰的には世の終わりをめぐる幻や象徴的な数字の解釈に偏る傾向があり、ダニエル書そのものよりもその内容の「啓示」や「秘密」に注目が集まりがちです。

このように、ダニエル書は聖書全体の中で特異な位置にあり、無視されることもあれば、特定の部分だけが強調されることもあります。しかし、その本質は軽視されるべきではありません。ダニエル書は旧約聖書と新約聖書の橋渡しをする重要な役割を果たしているからです。ダニエル書は旧約聖書中最後の時代に書かれた書物であり、その内容は新約聖書に最も近いものであると言えます。これは、ヘレニズム文化の影響を受けた激動の時代に書かれたことと密接に関係しています。

ダニエル書が書かれた時代背景には、バビロン捕囚という歴史的な文脈があります。ユダヤ人は国家や宗教的基盤を失い、異国の地で新しい信仰の形を模索せざるを得ない状況に追い込まれました。ダニエルやその仲間たちは、バビロンの宮廷に仕えながらも、異教の圧力の中でヤハウェへの忠誠を守り抜こうと奮闘しました。このような時代背景を踏まえると、ダニエル書は単なる預言や幻の書物ではなく、異国の地で信仰を再構築しようとする人々の苦闘とその希望が込められた記録として読むべきです。

 また、ダニエル書は神を「天の神」と再定義し、ヤハウェの救済の業をイスラエルという枠組みを超えて世界的な視点で捉え直しました。この過程で、「人の子」「復活と審判」「天使ガブリエルとミカエル」など、新約聖書にも直接影響を与える重要な概念が初めて提示されています。これらのテーマは、新約聖書の神学を形作る基盤となり、ダニエル書が初代教会に与えた影響の大きさを示しています。

本講義では、ダニエル書の持つこうした特異性を歴史的背景や内容を詳しく掘り下げながら学んでいきます。その中で、捕囚後という極限状況下で信仰を守り抜いた人々の姿を通して、私たちが学ぶべき信仰の在り方についても考察を深めていきたいと思います。

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