詩編を味わう(第7回)「讃美:叙述的ほめたたえの歌」
聖書箇所 詩編 113篇
話者 日高 嘉彦(北星学園大学チャプレン・教授)
今回は、「ほめたたえの歌」の類型の中の二番目の「賛美の歌(hymns)」別名「叙述的ほめたたえの歌descriptive psalm of praise」についてお話しします。「讃美」あるいは「叙述的」という言葉で分かるように、「ヤハウェは~のようなかたである」という、ヤハウェの性格、長所を数えて、それによって神をほめる歌です。前回学んだ「感謝」は、詩人の個人的、具体的な体験を証しするのですが、「讃美」では神の一般的な属性、性格を描写する、記述するもので、感謝とは区別されます。教会用語で言う所の「信仰告白」や「信条」にちかいものかもしれません。
「讃美」の様式(定型句)ですが、主なものが二つあります。ひとつは「ヤハウェは(状態、性質)である!」という神の性格を描写する文です。讃美歌にもあるように、「神は愛である。」「神は情け深い」「罪を赦す方」であると同じです。
もう一つよく見られる表現は、「あなたのような方があろうか!」という言い回しです。これは疑問文ではなく、「いや誰もいない!」という答えを想定した「修辞疑問文」と言われるものです。ヘブライ語では「ミー・クモハ」(who is like you?)という非常に印象に残るフレーズです。
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